恋愛経験のない童貞オタクが初めて風俗店に行った話(前編)

(※閲覧注意この文章には筆者が性的興奮を感じるような描写があり、自分自身気持ち悪いなと思う表現があります)

 


9月某日、とある目的を果たすべく、某所に向かった。

 


秋が深まっている肌寒い中、友人からの「少し酒を入れとけ」という助言に従い、コンビニで外国人店員から缶ビールを買う。緊張と寒さの中飲んだ生ビールは、中途半端に苦く、格段に不味かった。

 


雑踏の中、一人、不味いビールを飲むこと数十分。漸く、友人と待ち合わせる。会った途端に、酒臭いと指摘される。空っぽの胃にビールを押し込んだからか、呼気のアルコール臭が口と鼻に広がっているのが自分でも分かる。

 


そこから、歩いて行くこと10分。その日の「目的地」へとたどり着く。いわゆる、セクシーキャバクラ、おっパブと呼ばれる店だ。小さなビルの一つにそれはあった。友人に就活終わったら奢ってあげるから行こうと言われて今日は来たのだ。

 


小さなビル特有の中途半端に古い小型のエレベーターに乗り込み、店のある階へと上がって行く。階の表示が1階ずつ上がるたびに、胸の高鳴りが強くなっていく。

 


扉が開くと、あまり見慣れない内装が広がっている。まるで、ダンジョンゲームの入り口みたいだな、その時の自分はそう思った。今考えると、意味がわからない。

 


友人から貰った1万円札を受付のボーイの人に渡す。そこで、飲み物の注文を聞かれたが、緊張し過ぎてわけのわからないことを答えてしまった。支払ってから時間が経たないうちにすぐ呼ばれる。注意事項を説明され、うがい薬で口をゆすぐと、店の中に通された。

 


入った途端、暗さの中に、大音量の音声が流れていた。自分はまるで、これからこの暗闇の中を冒険するような気持ちで、不安と緊張感が、まだ続いていた。

 


予備校のそれとも、会社の事務所のとも、なんとも形容しがたい、腰の高さくらいの壁に囲われたブースに遠され、ソファのような椅子に座る。同時に、注文した飲み物が目の前の机に置かれる。

 


本当にこれからチューするのか、おっぱいに触るのか、まだまだ座りながら緊張していた。そんな中で、冷静にこれまでの自分の人生、いや、異性とのふれあいを振り返ろうとしたが、やっぱり、まったく経験がないことを再確認した。これから起こる未知との遭遇に、小さな恐怖を感じていた。

 


ここで、やっと一人目の女性が僕の元に現れる。雰囲気は近所のお姉さんという感じ。挨拶して、名刺をもらう。彼女が僕の隣に座って、会話しているうちに「初めてなん?」と聞かれたので、このようなお店は初めてである旨答える。ガチガチに緊張した童貞臭を出していたからか、「可愛い」と笑われる。「ねえ、チューせえへん?」と唐突に耳元に囁かれる。急展開に驚いたが、今日はそのために来たのだからと目的を思い出した。

 


彼女が目を瞑り、目を閉じて唇を突き出す。自分は緊張しながらも、自らの唇を彼女のにゆっくりと近づけ、触れる。柔らかい。女の子の唇ってこんなに柔らかいものなのか。新事実を発見する。

 


その柔らかさを楽しむのもつかの間、彼女がゆっくりと舌の先を入れてくる。自分もそれに応じるように、先を入れる。これが、ディープキスってやつか。更なる未知の発見に感動する。水滴を一滴一滴舐めるかのように、彼女の舌の先をチロチロと舐める。

 


そこから、一定時間キスをしては離れて、二人で見合って微笑んで、またキスをしてと繰り返していった。途中、唐突に今度は彼女が僕の胸を撫でて刺激する。気持ちがいい。人に撫でられるとこんな感じなのか。更にフロンティアが開拓されていった。そして、これでますます自らの興奮度が高まっていく。

恋人が欲しい。今まで、これまでの人生であまり強く思ったことのない願望が心の中で生まれた。そんな時だった。彼女が耳元でこう囁く。「場内指名して」と。すると、急に興奮が冷めてしまう。勿論、彼女も商売でやっていることを重々承知している。しかし、頭でわかっていても、感情はそうはいかなかった。場内指名は、今回はしない方がいいという友人のアドバイスに従い、断った。

 


ただ、気持ちは冷めてしまっても、自分の性欲は正直だった。再び、キスして、胸を撫でられてを続けると、興奮していた。ただ、

10分くらいキスを続けていたので、途中から「キス、もう飽きたな。疲れた。」と冷めてもいた。

 


10分が経過し、交代の時間となった。再度、女性が場内指名するように囁いたが、やっぱり、断った。「なんでなん?」と理由を尋ねられたが、若干まだ緊張していて、うまい理由が思いつかずにあたふたしていたが、それでも何とか理解してもらったのであった。

 


彼女が去ると、目の前に放置してあったウィスキーの水割りを飲む。薄い。緊張を飛ばすには薄すぎる。でも、気持ちを落ち着けるために何か飲み物を飲みたいと思い、口をつけて飲んでいく。そうしているうちに二人目の女性がブースにやってきて、隣に座った。見た目から、可愛い若い女の子だなあと、語彙力のない感想を抱いた。

 


「手を握っていいですか。」と聞いてきたので、握ってもらうと、「うわ、お兄さん、冷たい。何で!?」と驚かれる。一方、自分は彼女の体温を感じていた。「僕は心が冷たいからね」だとか冗談を言えばいいものを、「結構外に居たから」と適当に返事をしてしまう。

 


未だに緊張感が溶けずに、「初めてで緊張していて」というと、「私の脚、お兄さんのに乗っけていいですか。」と言うので、そうしてもらった。

 


それでも、まだ、どうしていいのか分からず、沈黙が続く。すると、彼女が「ディズニーランドが好きなんですよぉ」と話を切り出してくれた。「お兄さんって方向音痴ですか?私、いつもディズニーランド行くと迷ってしまって」と聞かれ、「自分も迷っちゃうかもしれないです」と全く方向音痴ではないのに、中途半端に会話の流れを意識して答えてしまう。彼女はそれに対して「えー!なら、二人で行ったら両方とも迷子になっちゃいそう」と返す。なんだ、このしょうもないやり取りは。その時はそう思ってしまったが、話を作れない自分が悪い。

 


次に、「お兄さん、髪型セットしてるんですか?」と彼女が尋ねる。本当は、自分は何もしないので、母親にいじられて髪型が整うのだが、「母親にやってもらってる」というのを女の子に明らかにするのは一人の男子として恥ずかしいので、「何もしてない」という風に答えた。今更ながら、20代童貞なりのダサい虚栄心だと思う。「えー!整えてないのに、その髪型なんですか!」と彼女は驚く。話を聞くと、実は、韓国で流行ってる髪型らしい。そういえば、母は所謂、韓流ファンであり、髪型を整えるよう指導してくる際は、必ず韓国の俳優の髪型に関して言及する。今度、おっパブ嬢に髪型を褒められたよって母親に報告しとこう。

 


更に、彼女が「お兄さんの着ている服可愛いですねー。」褒める。服のことがよくわからないオタクは「そうなんだ。」と適当過ぎる返事をしてしまう。すると、「これと同じ柄で、ピンク色のやつがあったら買いたいんですけど、売ってましたか?」と聞かれる。又もや、回答に窮してしまう童貞。実はこれも、母親に買ってもらったものであった。先程と同様に虚栄心のあるオタクは、明白に狼狽えながらも「なかったと思うけどなあ」と答えるのであった。今度、おっパブ嬢に服装も褒められたよと母親に報告しておこう。

 


こんな風に、慣れていない女の子との会話にタジタジしていると、あっという間に10分経ってしまった。会話以外いや、会話すら碌に出来ずに終わってしまった自分に不甲斐なさを感じた。

 


3人目の女の子を待つ間、先程同様に薄いウィスキーの水割りを飲みながら、ふと、思ったことがあった。それは、まだ、おっぱいに一度も触ってないということだった。当然、童貞は産まれながら一度も女の子のおっぱいに触ったことがなかった。女の子のおっぱいってどんな感触なのだろう。物心ついた時から、そのようなことばかり考えていたと思う。そして、人生、一度でいいから、女の子のおっぱいを触りたい。触らずにはいられない。そういう風に思うようになった。今日は一世一代の大チャンス。前日まで、やっと触れると張り切っていた。それなのに、どうだ。恥ずかしがって、自ら切り出せずに情けない。友人に奢ってもらったのに、このまま満足出来ずに終わってしまっては、顔向けできまい。おい!おっぱいを揉んで帰るんだ!心の中で、自らを鼓舞する。

 


ここから、22歳童貞の怒涛の逆転劇が始まる。乳揉むまで、あと5分。(「その時歴史が動いた」風)

 


後半へ続く