性病闘病日誌1

今年11月初頭のある夜のこと。トイレで用を足すと"ボクの先端"に妙な痛みを感じた。少し鋭いが、耐えられないという程ではないが、確かに"そこ"にあると訴えられてるような感じがあった。

 

腕組みをしながら僕は考えた。心当たりはあったのだ。おそらくあの店かもしれない。ただ、そうとも限らないし、様子を見ておこう。その日はそうやり過ごすことにした。


そこから3週間ほどが経った。


痛みは当然ながら続く。どうにも病院に行くのが億劫で恥ずかしいと思って躊躇っていたが、陰キャのくせに性欲が強い僕は、このまま痛みが続いて、性的欲求を解消することに支障が出ることに懸念を抱いていた。


初めて泌尿器科に行った日も、都内をぶらついていた中で、あーだこーだ思いつつも、やっと「とりあえず行ってみるか。」とスマートフォンを取り出して、都内の病院を探して突如行ってみることにしたのだ。


行ってから診察までに時間を要した。患者が多く、予約がいっぱいだそうで、1時間ほど待たされた。その間に尿検査を済ませて、後はkindleで本を読みながら待っていたが、その一方で頭の中で思い巡らすことがあった。


 感染の経緯をどう説明しようと。恥ずかしい。ピンサロでフェラチオされた後に痛むようになりましたと自白するのは。いや、「お店に行って、お口でうつされました。」という感じで、なるべくあっさりと簡潔に説明したい。


そんな風に考えていると、自分の番号がやっと呼ばれる。息をふーっと吐きながら、診察室の扉をノックし、開き、椅子に座る。若めの医師は軽く挨拶を済ませた後、問診票に記載した僕の症状を見て淡々と一言、「性病ですかね。」と。症状に至るまでの経緯を一々説明しなきゃいけないと思っていた僕は、笑顔で頷いた。やっぱり都内の泌尿器科だから、そんな患者が大半で、医師は配慮してるのだろう。これまでの心配が杞憂に過ぎなかったことに、僕はほっとした。

 

 抗生物質が処方された。医師と薬剤師が言うには、副作用として腹が緩くなるとのことであった。処方されてすぐに飲むことにした。


 長時間待たされ昼を食べ損ねて腹を空かせていた僕は、とりあえず腹ごしらえにとつけ麺を食べに行くことにした。半分ほど食べ終えた頃だろうか、急に腸の緊張がとけ、モノが大挙して出口に押し寄せるような感覚が僕を襲った。その出口を僕は最大限強く閉めながら、麺を急いで啜っていく。ただ、中々器は空にならない。脂汗が出てきた。この場で漏らして、周囲に軽蔑の目で見られる情景が僕の頭の中に浮かぶ。こんな緊張感を強いられる食事は人生で初めてだった。何とか食事を終えると、すぐさま僕は手洗い場に駆け込んだ。


 飲んでから数日が経った。こんなに強い効果があるからか、最初に感じた痛みは段々と引いてきた。まあ、あともう少しすれば痛みも無くなるだろう。しかし、この認識が甘かったことを後で思い知らされることになる。

 

続く